9月13日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ
こんにちは。水野です。
次は、憲法に規定されている逮捕及び拘禁についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、令状によらなければ逮捕されない。
(2)令状は、権限を有する司法官憲が発する。
(3)令状には、逮捕の理由となっている犯罪が明示される。
(4)何人も、直ちに弁護人を依頼する権利を与えられる。
(5)弁護人の要求があった場合、拘留又は拘禁の理由を直ちに告げなければ、引き続き拘留又は拘禁されない。
⇒「人身の自由」からの出題は頻出である。基本原則として1.(ア)奴隷的拘束からの自由(18条)、(イ)適正手続(31条)を規定し、各論として2.被疑者の権利(33条〜35条)、3.被告人の権利(37条〜39条)という構成になっている。満遍なく出題されているので、どこから出題されても対応できるように、一度は整理しておく必要がある。憲法全体の出題傾向から見ても、最重要項目である。時間がなければ、ここだけでも整理しておくとよいと思う。
正解(5)
(5)誤り。
→憲法34条は、前段と後段との違いに注意する必要がある
→弁護人(被拘禁者等)の要求があった場合を規定するのは、後段である
→後段は、「拘禁」についての規定であり、問題文が「抑留又は拘禁」としている点が誤りである
(1)正しい。
→憲法33条は、問題文の旨を規定する
→本条は、犯罪による逮捕にはかならず令状を必要とすると定めて、身体の自由を保障しようとする
(2)正しい。
→憲法33条の「権限を有する司法官憲」とは、裁判官をいう
→第三者的立場にある裁判官が逮捕の必要性を判断し、捜査機関が逮捕権を濫用することを抑制しようとするものである
(3)正しい。
→憲法33条は、問題文の旨を定める
→「理由となっている犯罪を明示する」とは、単に犯罪名を挙げるだけではなく、その犯罪事実を明示することをいう
→したがって、犯罪事実の内容を特定しない、いわゆる一般令状は、認められないことになる
→刑事訴訟法も、この趣旨のもとに、令状には、罪名のほか、被疑事実の要旨などを記載するものとしている(200条)
(4)正しい。
→憲法34条前段が問題文の旨を定める
→抑留又は拘禁された者にたいしては、直ちに弁護人を依頼する権利があたえられるという意味である(その趣旨を刑事訴訟法が詳しく規定する)
→刑事被告人の弁護人依頼権は別に憲法37条で保障されているが、本条はすべての拘留・拘禁された者にそれを保障した規定である(刑事訴訟は、さらに抑留・拘禁されない被疑者に対しても、弁護人依頼権を補償するー30条)
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