1月11日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈2〉
次は、憲法21条が保障する「表現の自由」についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)表現の自由は、表現活動が本質的に社会的性格を有するところから、内心の自由とは異なり他の法益との関係において制約を受けることがある。
(2)取材の自由は、報道の自由の前提となるものであるから、報道の自由以上に保障されるべきである。
(3)表現の自由は、新聞、テレビ、ラジオ、出版、演説その他の手段による表現活動の自由をいう。
(4)報道の自由は公務員に情報提供義務を課すものではないから、公務員が報道機関に対して職務上知り得た秘密を漏らすことはできない。
(5)事実を報道する自由も表現の自由の一部である。

表現の自由報道の自由からの出題は多い。特に、報道の自由については、判例の趣旨を問う問題が多いのが特徴。論文でも出題が多い分野である。
正解(2)
(2)誤り。
→取材の自由は、報道の自由を確保するために、その前提として尊重に値するとするのが判例(最決昭44・11・26)
→取材の自由が、報道の自由以上に保障されるとするのは明らかに誤り
(1)正しい。
表現の自由といえども、他の国民の有する権利・利益との調和という観点から制約を受ける
(3)正しい。
表現の自由はすべての表現媒体に及ぶ
(4)正しい。
報道の自由が公務員に情報提供義務を課すものではないのは当然
→公務員の守秘義務(国家公務員法100条1項、地方公務員法34条1項)
(5)正しい。
表現の自由は、本来、特定の思想を表明することを保障するもの
→報道は、事実を知らせるものであるが、国民に重要な判断資料を提供するもので、思想表明の自由とともに憲法21条の保障のもとにある(最決昭44・11・26)。

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憲法〈1〉

憲法〈1〉

憲法〈2〉

憲法〈2〉

1月12日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

行政法〈2〉
次は、条例についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)条例は、議会が議決し、地方公共団体の長が公布する。
(2)条例は、自主法としての性格を有するから、個別的な法律の委任が無くても、住民の権利・自由を制限し、義務を課すことができる。
(3)条例は、その地方公共団体の事務に関して制定できるのであるが、国が実施すべき事務についても制定できる。
(4)条例は、国法秩序と調和したものでなければならないから、法律及び命令に反することはできない。
(5)法律の規定により、一定の事項について条例に委任している場合があるが、この場合、条例で制定できる範囲はその委任の限度に限られる。

⇒条例については、条例の意義、制定手続、規定事項、限界、条例と罰則について広く出題されているから、これらについて簡潔に整理しておくと有効である
正解(3)
(3)誤り。
→条例で制定できる事項は、地方公共団体の事務に関してである(地方自治法14条1項)
(1)正しい。
→条例の制定は議会の専決事項(地方自治法96条1項)、長が公布する(16条1項、2項)
(2)正しい。
→条例は地方公共団体自治権に基づく自主法であり、議会によって民主的に制定されるから、法律に準じたものとされている
(4)正しい。
条例制定権は「法律の範囲内」で認められるものであり(憲法94条)、「法令に違反しない限りにおいて」制定することができる(地方自治法14条1項)
(5)正しい。
→委任条例で制定できる範囲は、委任の趣旨・目的など、委任の限度に限られる

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事例から刑法を考える (法学教室Library)

事例から刑法を考える (法学教室Library)

たのしい刑法 第2版

たのしい刑法 第2版

1月13日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈2〉
次は、「未必の故意」が認められる場合を挙げたものであるが、正しいのはどれか。
(1)古物商が持ち込まれた品物が「これはもしかして盗品であるかも知れない」と思いながらも、敢えて利益をあげるために、これを買い取る行為。
(2)暴力団組員が、対立する組の組長に対し「往生せい」と申し向けながら、心臓めがけてけん銃を発射する行為。
(3)狩猟中、猪と思って発砲したところ、人を射殺してしまった行為。
(4)腹立たしさの余り、Aに石をぶつけてやろうと思い投石したところ、近くにいたBに当たり負傷させる行為。
(5)暴力団組員の甲は、人里離れた野原でけん銃の試し打ちをすることを思い立ち、「人に当たれば死ぬだろうが、ここならだれにも当たる心配がない」と思って発砲したところ、たまたまハイキングに来ていた乙に当たり、死亡させてしまう行為。

⇒確定的故意と未必の故意を、具体的事例を通じて区別し理解しておくことは重要である
正解(1)
(1)正しい。
未必の故意とは、犯罪事実の実現を可能なものと認識し、これを認容している場合をいう
(2)誤り。
→確定的故意、すなわち犯罪事実の実現を確定的なものと認識し、これを認容している場合である
(3)誤り。
→猪であると認識し、人であるとの認識がないから、故意の問題ではない
(4)誤り。
→錯誤の問題
(5)誤り。
→「ここならだれにも当たる心配はない」と思っているから認容がない

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行政法

行政法

行政法入門

行政法入門