12月17日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

〈7〉総合問題★★★
◇甲は、Aを殺害しようと企て、致死量の毒を飲ませておいたが、毒が効き出す前に、以前からAをつけ狙っていた乙がAをけん銃で射殺した。甲には、殺人既遂の罪責を肯定することはできない。
→○
→実行行為から結果に向けて因果の流れが進行中、行為者の行為とは無関係の事情が介入し、それによって結果が発生してしまった場合を「因果関係の断絶」といい、条件関係そのものが否定される
◇甲は、列車の中で偶然知り合いになった乙とパーティを組んで冬山に登った。下山の途中、乙は激しい腹痛のため動くことができなくなったが、甲はまだ十分余力があるにもかかわらず一人で下山してしまった。乙は激しい腹痛で動けなくなったこと等のため、低体温症等に陥り死亡した。甲と乙は偶然知り合ったにすぎないから、甲に保護責任者遺棄致死罪は成立しない。
→×
→偶然に知り合ったとはいえ、甲と乙はパーティを組んで冬山に登った(相互に保護救助をすべき義務が発生)
→甲には十分余力があった(作為可能性あり)
◇甲は無銭飲食する目的で飲食店乙方に入り、飲食物を注文した。乙は甲の真意を看破したが、あわれに思って注文の品をそのまま出してやった。詐欺既遂となる。
→×
→詐欺未遂罪
→詐欺罪は、欺罔行為ー錯誤ー財産的処分行為ー財産上の損害発生という因果の連鎖が必要であるが、問題文の場合、乙はあわれに思って飲食物を甲に交付しており(錯誤に陥っていない)、因果の連鎖が切断している

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事例から刑法を考える (法学教室Library)

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