1月7日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈1〉
次のうち、詐欺罪が成立するのはどれか。
(1)5万円の指輪を買って代金を支払ったところ、店員がうっかり間違えて7万円の指輪を差し出したのでこれさいわいと受け取った。
(2)買物をしておつりを1,000円余計にもらったことに帰宅して気がついたが、面倒なのでそのまま使ってしまった。
(3)レストランで飲食した後、所持金のないことに気付き、代金を踏み倒そうと思い店員のすきをみて逃走した。
(4)客を装って時計店に行き、陳列ケースの時計を見せてくれと店員に頼み、店員が他の客の応対しているすきに時計を持ち逃げした。
(5)甲は、友人乙のマンションに行き、管理人丙に対して乙から頼まれたと虚言を申し向け、乙の部屋のかぎを開けてカメラを持ち出した。

⇒詐欺罪は、欺罔→錯誤→財産的処分行為→財物又は財産上の利益の取得、という構成要件要素を満たしたときに成立するので、これを事案にあてはめてその成否を検討する必要がある
正解(1)
(1)成立する。
→間違って差し出された7万円の指輪を受け取る行為が「欺罔」に当たるかの問題
→社会生活上の条理に基づいて、7万円の指輪であることを告知する義務があり、この義務を怠って相手方がすでに錯誤に陥っている状態を継続させ利用する場合は、不作による欺罔といえる
(2)成立しない。
→遺失物等横領罪
→帰宅して余分にもらったことに気付いており、1,000円は、被害者の意思に基づかずに占有を離れた物
(3)成立しない。
→飲食した後所持金のないことに気付いているから、注文時に欺罔行為がない
→店員のすきを見て逃走しているから、ここでも欺罔行為がない
→利益窃盗(処罰規定無し)
(4)成立しない。
→すきを見て逃走しており欺罔行為がない
→窃盗罪
(5)成立しない。
→マンションの管理人には乙の物を処分する権限がないから、欺罔行為の客体になり得ない
→窃盗罪

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刑事訴訟法 第3版 (有斐閣アルマSpecialized)

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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