1月22日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 行政法〈1〉

A警察署の自動車警ら係の甲巡査部長が、パトカーで警ら中、信号無視の交通違反車両を発見し、停止を求めたが違反車両が逃走したため追跡したところ、違反車両が逃走中に歩行者をはねるという交通事故が発生した。
パトカーの追跡行為がどのような要件に該当した場合に、被害歩行者との間で国家賠償法上の責任が生ずるかについて述べなさい。

答案構成例
1.公務員の不法行為による損害賠償の意義
2.損害賠償の要件
3.賠償責任の主体
4.パトカーの追跡行為による損害賠償

1.公務員の不法行為による損害賠償の意義
→行政上の違法な行為による国民の損害を救済するため、国家賠償法が制定され、公務員の不法行為による損害賠償を定めている
2.損害賠償の要件(国家賠償法1条)
(1)国又は公権力の行使に当たる公務員が
→公権力の行使は、公の機関として、一般私人と異なる立場で公務を行うこと
(2)その職務を行うについて
→外形上職務行為と認められるもので足りる
(3)故意又は過失によって
→過失責任主義
(4)違法に他人に損害を加えたこと
→「違法に」とは、その行為が客観的に正当性を欠く場合を意味する
3.賠償責任の主体
→国又は公共団体であり、不法行為をした公務員自身は被害者に対して賠償責任を負わない
不法行為をした公務員に故意又は重大な過失がある場合、国又は公共団体は公務員に求償できる
4.パトカーの追跡行為による損害賠償
(1)追跡行為の法的根拠とパトカーによる追跡行為
警職法2条1項、警察法2条1項
→警察職務の遂行(警職法2条1項)には、性質上、必然的に追跡活動を伴い、パトカーによる追跡行為もこれに含まれる
→「警察の責務」(警察法2条1項)として逃走行為を容認できない
(2)公権力の行使・職務関連性
→パトカーの追跡行為は、「公権力の行使」に当たり、また、「職務関連性」を有する
(3)違法性
→パトカーによる追跡行為が「違法に」なるかの判断
ア.追跡行為が当該職務目的を遂行する上で必要であったのか否か
イ.逃走車両の逃走態様及び交通状況等から予測される損害発生の具体的危険性の有無・内容に照らし、追跡の開始、継続若しくは追跡の方法が相当なものであったか否か、
によって決せられる

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