1月29日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 刑法〈1〉

次の場合における、Aの刑責について述べなさい。
(1)AはBを殺す意思でけん銃を発射したところ、Bには当たらず側にいたCに当たりCを死亡させた(AにはCを殺害する意思はなかった)
(2)AはBを殺す意思でけん銃を発射したところ、Bには当たらず側にいたBの飼い犬に当たり、これを死亡させた(Aには犬を殺す意思はなかった)

答案構成例
1.事実の錯誤の意義
2.事実の錯誤の種類
3.事実の錯誤の解決基準
4.事例の検討

1.事実の錯誤の意義
→事実の錯誤とは、行為者の認識した事実と現実に発生した事実とが食い違う場合をいう
2.事実の錯誤の種類
→錯誤が同一構成要件における場合ー事例(1)
→錯誤が異なる構成要件にまたがる場合ー事例(2)
3.事実の錯誤の解決基準
→事実の錯誤は、現実に発生した事実にについて故意を認めることができるのかの問題
→行為者の認識と現実に発生した事実が構成要件の範囲内で符合していれば故意を認めることができる(法定的符合説ー判例・通説)
4.事例の検討
設問(1)
→Aが認識した事実と発生した事実はともに殺人罪であり同一構成要件内の錯誤
→Bという「人」を殺す意思でCという「人」を殺しており、「人を殺してはならない」という殺人罪の構成要件の範囲内で符合しているから、Cを死亡させたことについて、殺人罪の故意が認められる
→Bに対しては殺人未遂罪
設問(2)
→Aの認識は殺人罪であり、発生した事実は器物損壊罪であるから、異なった構成要件間の錯誤
殺人罪と器物損害罪は構成要件の範囲内で符合しないから、Bの飼い犬を死亡させたことに故意を認めることはできず、過失の器物損壊を処罰してない現行法上は不処罰
→Bに対しては殺人未遂罪

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刑法判例百選1総論(第6版) 別冊ジュリスト189

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刑法判例百選2各論(第6版) 別冊シ゛ュリスト190 (別冊ジュリスト)

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