2月5日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 刑訴法〈1〉

18歳の高校生A女は、近所の甲男に強姦されたとして、被害の翌日、地元警察署へ出頭して告訴状を提出した。そこで、同署で甲男を逮捕して取り調べたところ、A女にふられた乙男からそそのかされてA女を強姦したとの自白を得た。そのため、乙男を強姦教唆の被疑者として逮捕すべく所在捜査を実施していたところ、A女が再度来署して、「面倒なことになるので、訴えません。」と申し立て、告訴を取り下げた。ところが、その翌日、A女の父親が来署して「告訴は絶対に取り下げない。」と申し立てた。
この事例をもとに、刑事訴訟法上の告訴について、論点を挙げて説明しなさい。

⇒告訴は、論文問題だけでなくSA問題でも出題頻度の高い分野である。告訴の意義、告訴権者、告訴の手続、告訴の効果、告訴の取消し等、ていねいに整理しておくべきである。

答案構成例
1.告訴の意義
2.告訴権者
3.告訴能力
4.告訴期間
5.親告罪の告訴の取消し
6.事例の検討

1.告訴の意義
→告訴とは、告訴権者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示
2.告訴権者
→原則として被害者であるが、被害者の法定代理人など一定の者も告訴できる
3.告訴能力
→告訴能力とは、告訴の意味と効果を理解する能力をいう
→有効な告訴をするためには、告訴能力が必要
4.告訴期間
(1)非親告罪
→告訴期間の制限なし
(2)親告罪
→原則として、犯人を知った日から6か月
強姦罪等の性犯罪は、告訴の期間は制限されず、犯罪の時効が成立するまで告訴できる
5.親告罪の告訴の取消し
(1)取消権者
→当該告訴をした者
(2)取消期間
→公訴の提起があるまで
(3)再告訴
→告訴の取消しをすれば、同一事実で再び告訴することはできない
6.事例の検討
(1)A女について
→A女は18歳であり、告訴の意味と効果を理解でき、告訴権者として有効な告訴ができる
→告訴を取り消した以上、A女は再び告訴することはできない
(2)A女の父親について
法定代理人(親権者)として独立して告訴できる
→A女が告訴を取り消した後でも本人の意思に拘束されることなく、自ら告訴できる

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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刑事訴訟法講義

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