2月10日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈6〉
次は、共犯についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)教唆犯とは、他人を唆して犯罪実行の決意を生じさせ、その決意に基づいて犯罪を実行させることをいう。
(2)デパートの警備員甲は、乙女がデパートで万引きしているのを見つけたが、自分の恋人であることから見逃してしまった。乙女はこれに気づいていないが、甲には窃盗罪の従犯が成立する。
(3)甲が乙に対しA方への住居侵入、窃盗を教唆したところ、乙が、B方に侵入、窃盗した場合も、甲は住居侵入罪、窃盗罪の教唆犯の刑責を負う。
(4)数人が強盗を共謀したが、その中の一人が後悔してひそかに犯意を放棄したとしても、他の共謀者がこれを知らずに強盗を実行すれば、犯意を放棄した者も強盗罪の共同正犯となる。
(5)業務性を欠き占有もない甲は、A会社の取締役兼経理部長の乙に会社の金を横領するように唆し、乙が横領したときは、その共犯として業務上横領罪の刑責を負う。

⇒共犯に関しては、その意義、要件を問う問題、具体的事例で問う問題など、頻出分野である。

正解(5)
(5)誤り。
→業務上横領罪は、占有者という真正身分犯と業務者という不真正身分とが混在する特殊な形態の犯罪
→全く身分を有しない甲にも刑法65条1項により業務上横領罪が成立し、同条2項により単純横領罪の刑を科す(最判昭32・11・19)
(1)正しい。
→教唆犯の成立には、教唆行為と教唆に基づく正犯の実行行為が必要である
(2)正しい。
→幇助者が被幇助者の知らないうちに幇助行為をする場合にも従犯は成立する(片面的従犯)
(3)正しい。
→教唆犯の錯誤の問題
→同一構成要件内の錯誤であり、教唆者の故意は阻却されない
(4)正しい。
→共謀関係からの離脱の問題
→離脱の要件は、a.他の共謀者に離脱の意思を表明し、b.他の共謀者がこれを了承すること、である

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事例から刑法を考える (法学教室Library)

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わかりやすい刑法101問

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