2月12日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 憲法〈2〉
A刑事課長は、管内のコンビニエンスストアの駐車場で恐喝事件が連続して発生していたことから、経営者に対し、駐車場に防犯カメラを設置し、駐車場に接する道路も監視できるよう要請した。このことが、管内のオンブズマンの知るところとなり、その代表者から、「警察の主導で防犯カメラを設置することや、公道まで監視できる場所に設置することは憲法違反だ。」との抗議を受けた。
防犯カメラの設置の適法性の有無について、国民の基本的人権の保障の観点から、論点を挙げて説明しなさい。

答案構成例
1.肖像権
2.肖像権に対する制約
3.ビデオ撮影が許されるための要件
4.事例の検討
5.結論

1.肖像権
(1)意義
→肖像権とは、自己の容ぼうや姿態をみだりに他人から撮影されることのない権利をいう(プライバシーの権利の一環)
(2)憲法上の根拠
憲法13条の幸福追求権
(3)判例
→個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するとする
2.肖像権に対する制約
(1)肖像権の制約
→他の権利・利益との調和という観点から、公共の福祉によって一定の制約に服する
(2)肖像権と犯罪捜査
ア.原則
→捜査機関がみだりに個人の容ぼう等を撮影することは、肖像権の侵害となり許されない
イ.例外
→捜査機関が犯罪捜査のために防犯カメラを設置することは、一定の要件の下で、公共の福祉による肖像権の合理的制約として是認される
3.ビデオ撮影が許されるための要件
(1)犯罪が発生する相当高度の蓋然性があること
(2)証拠保全の必要性・緊急性があること
(3)その撮影が一般的に許容される相当な方法で行われること
4.事例の検討
→当該駐車場では、恐喝事件が連続して発生しており、犯罪が発生する相当高度の蓋然性が認められ(1)の要件を満たす
→恐喝事件の容疑者の特定及び逃走経路を明確にしておくという意味で、(2)の証拠保全の必要性・緊急性の要件を満たす
→駐車場に防犯カメラを設置し、駐車場に接する道路に限って撮影するもので、一般的に許容される相当な方法であり、(3)の要件を満たす
5.結論
→当該コンビニエンスストアの駐車場に防犯カメラを設置することは、適法であり、憲法に反するものではない

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別冊ジュリスト No.186 憲法判例百選1

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