2月17日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈7〉
スーパーの店内で万引きを現認した保安係員Aが、犯人甲が店を出たところで甲に声をかけたところ、これに気付いた甲は、万引きした商品をその場に放り出して駐車場の自分の車に逃げ込みロックをして立てこもり、エンジンをかけてAが車の前で両手を広げ制止するにもかかわらず、車を急発進させてAをボンネットの上に跳ね上げたまま逃走し、Aに重傷を負わせた。
甲の罪責として正しいのは次のうちどれか。
(1)強盗殺人未遂罪
(2)強盗傷人未遂罪
(3)窃盗罪と殺人未遂罪の併合罪
(4)窃盗未遂罪と傷害罪の併合罪
(5)事後強盗罪と自動車運転過失致死傷罪の観念的競合

⇒事例問題は、行為者(犯人)の行為を時間を追って分析していくのが基本であるから、「万引き」→「商品を放り出す」→「車を急発進させAに重傷を追わせる」の甲の行為を、それぞれ順に犯罪構成要件に当てはめていくことになる。

正解(1)
→スーパーの店内での万引きは、目的物の大小にもよるが、少なくても店内から外に出れば既遂(取得説ー判例・通説)
→商品を放り出しても窃盗の未遂ではない
→Aを車で跳ねたのは、窃盗犯人が逮捕を免れるためであるから、事後強盗罪の暴行であり、車の急発進という手段であるから、相手方の反抗を抑圧する程度といえる
→車を急発進させて体にぶつけるという行為は、生命を侵害するのに十分な行為であるから、故意は単なる暴行というより、少なくとも未必の故意のある殺人の故意と評価できる
→強盗犯人が、強盗の機会に、殺意をもって車を急発進させてAの体にぶつけ重傷を負わせているから、甲には強盗殺人未遂罪(240条後段)が成立する

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刑法判例百選1総論(第6版) 別冊ジュリスト189

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刑法判例百選2各論(第6版) 別冊シ゛ュリスト190 (別冊ジュリスト)

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