2月19日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 行政法〈2〉
A警部補らは、捜査用車両で管内を走行中、自署から窃盗容疑で指名手配中の男に酷似した男が一人で車両に乗って通行するのを現認した。
この男が甲であることを確認して逮捕すべく、A警部補らは秘匿追尾を開始したが、男の乗車した車両は一度も停止することなく隣接県に入った。
その後、ドライブインで停止したので、車両から降りたところを職務質問した結果、甲であることが判明したので逮捕した。
A警部補らの逮捕行為は適法であるかどうか、警察法上の論点を挙げて説明しなさい。

答案構成例
1.職権行使の原則
2.管轄区域外における職権行使
3.管轄区域内の公安の維持のための職権行使
4.事例の検討
5.結論

1.職権行使の原則
→警察官は、原則として、当該都道府県警察の管轄区域内において職権を行使する(警察法64条)
2.管轄区域外における職権行使
→警察活動は広域的性格を有することから、警察法は、一定の場合、管轄区域外での職権行使を認めている
→ア.境界付近における事案処理のための権限行使の場合、イ.広域組織犯罪等に関する権限行使の場合、ウ.管轄区域内の公安の維持に関する権限行使の場合、などがある
3.管轄区域内の公安の維持のための権限行使
(1)警察法61条
→管轄区域内における犯罪捜査その他公安の維持に関連して必要な限度で、その管轄区以外にも、権限を及ぼすことができる
(2)「管轄区域内における犯罪」の捜査
→ア.その管轄区域内における犯罪、イ.その管轄区域内に始まった犯罪、ウ.その管轄区域内に及んだ犯罪、などが含まれる
(3)「関連して必要な限度」
→管轄区域内における犯罪捜査活動が、その対象となる人・物・事件等を通じて管轄区域外と直接関連をもつため、管轄区域外においても権限を行使することが合理的と考えられる範囲内をいう
4.事例の検討
→自署から指名手配中の被疑者に関するものであるから、「管轄区域内における犯罪」である
→指名手配被疑者に酷似する男が甲であることを確認し逮捕するために、隣接県で権限を行使したのであるから、管轄区域内の捜査に必要かつ合理的な範囲内といえる
5.結論
→A警部補らの隣接県における追尾行為、逮捕は、適法である

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警察法解説 全訂版

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重要条文解説警察法

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