3月3日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈9〉
次は、横領罪についての記述であるが、正しいのはどれか。
(1)横領罪における占有とは、事実上又は法律上、物に対する支配力を有する状態を意味する。
(2)横領罪は、動産については成立するが、不動産については成立の余地がない。
(3)横領罪は、未遂も処罰される。
(4)横領行為としての処分行為は、事実上の処分行為に限られ、法律上の処分行為は含まれない。
(5)自己の所有物に対しては、横領罪が成立する余地はない。

⇒横領罪からの出題は、窃盗罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪に比べると少ないが、手を抜くことはできない。なお、目的物の占有が被害者にあるのか行為者にあるのかによって、窃盗罪と横領罪が区別されることに注意。

正解(1)
(1)正しい。
→横領罪の客体は、自己の「占有」する他人の物である
→ここにいう「占有」には、窃盗罪の場合の物に対する事実上の支配に加え、法律上の支配力を有する状態も含まれる
(2)誤り。
→自己の占有する他人の「物」とは、動産・不動産を含むほか、窃盗罪等における財物と異なるところはない
(3)誤り。
→横領罪は、実行に着手すればただちに既遂となり、未遂の観念は認められない。未遂処罰規定がないのもそのためである
(4)誤り。
→横領行為は、売却、贈与などの法律上の処分行為であると、着服などの事実上の処分行為であるとを問わない
(5)誤り。
→刑法252条2項は、「自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする」と規定する。

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刑法判例百選1総論(第6版) 別冊ジュリスト189

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