3月4日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈9〉
次は、刑事訴訟法212条1項の「現に罪を行っている者」として現行犯逮捕の対象となるものを記述したものであるが、正しいのはどれか。
(1)スリが満員の百貨店内で窃取する相手方を物色しているとき。
(2)公務員が対象業者から現金を受け取っているところを現認したとき。
(3)被害者が女性関係をネタに100万円恐喝されていると届け出たので、警察官が被害者とともに指定の時刻、場所に行ったところ、恐喝している人物が現れたとき。
(4)けん銃所持の疑いのある者を警察署に同行し、取り調べたところ、自宅にけん銃を隠し持っていると自供したとき。
(5)警察署に起訴勾留中の被疑者を公判出廷のため護送途中、被疑者が護送警察官のすきをみて逃走し、いったん所在不明となったが、5分後に空き室に潜んでいるのを発見したとき。

⇒逮捕については、現行犯逮捕に限らず通常逮捕、緊急逮捕についても、それぞれの要件をしっかり押さえておく必要がある。特に、現行犯逮捕、準現行犯逮捕の要件は、具体的事例を通じて理解しておく必要性が高い。

正解(3)
(3)正しい。
→「現に罪を行い」とは、犯罪の実行行為を行っている場合をいう
→犯人は脅迫に基づく金員受領のため指定の場所に現れたのであるから、恐喝行為の実行がなお継続しつつあるといえる
(1)誤り。
→相手方を物色している段階では、まだ窃盗の実行に着手しているとはいえない
→理論的には窃盗予備の段階であるが、窃盗予備は刑法上犯罪を構成しない
(2)誤り。
→現に「罪」を行っているとは、特定の犯罪でなければならない
→公務員が対象業者から現金を受け取っている現場を目撃しても、その現場における状況からその公務員の職務に関する贈収賄であることが明白でなければならない
(4)誤り。
→自宅にけん銃を隠し持っていると自供しても、その段階では「現に罪を行っている」ことが逮捕者に明白であるとはいえず、現行犯逮捕の対象とならない
(5)誤り。
→逃走後5分にわたって所在が不明となっているので、逃走罪は既遂であり、「現に罪を行っている」とはいえない
→「現に罪を行い終わった者」として現行犯逮捕の対象となる

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刑事訴訟法 第3版 (有斐閣アルマSpecialized)

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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