3月5日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 刑訴法〈2〉
医師から変死の通報を受け、代行検視をすべく死者の自宅に赴いたところ、その家の主人が「息子は自殺したのだから検視の必要はない。」と言い張り、検視を拒否するとともに、捜査員を玄関から中に入れようとしない。
検視につき説明するとともに、この事例の場合、その主人の意思に反して検視を行うことができるかについて述べなさい。

答案構成例
1.検視の意義
2.代行検視
3.検視の対象
4.検視の方法
5.事例の検討

1.検視(司法検視)の意義
(1)意義
→検視とは、人の死亡が犯罪に起因するものであるかどうかを判断するために、五官の作用によって死体の状況を見分すること
(2)検証との違い
→検視と検証は類似するが、検証は、証拠資料を収集するためになされる捜査手続上の処分である点で異なる
2.代行検視
→検視は検察官の権限とされ、みずから現場に赴いて検視をしなければならないが、必要に応じ、司法警察員に検視させることができる(代行検視)
→代行検視は、検察官の命令によるが、司法警察員としての資格において行うものである
3.検視の対象
→「変死者」と「変死の疑いのある死体」
→変死者とは、不自然死による死体であって、犯罪によるものではないかとの疑いのある死体をいう
→変死の疑いのある死体とは、自然死か不自然死か不明であるが、不自然死の疑いがあり、しかも犯罪によるものであるのかどうか不明な死体をいう
4.検視の方法
(1)令状の要否
→検視は、捜査手続そのものではなく、変死体が存在するという緊急事態においてなされるものであるから、個人と社会の安全上、必要があれば、令状なしに行うことができる
(2)検視の処分
→住居主等の承諾なしに変死体の存在する場所に立ち入ることができる
→捜索・差押えにわたる処分はできない
→必要であれば、身体検査、所持品等の検査を行うことができる
→検視は129条(検証と必要な処分)が準用されていないから、死体の解剖を行うことはできない
5.事例の検討
→医師から変死の通報を受けているから、事例の死体は変死者として検視の対象となる
→検視には令状及び住居主等の承諾は不要であるから、当該主人が検視を拒否しても、承諾なしに住居に立ち入り検視することができる

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刑事訴訟法 第3版 (有斐閣アルマSpecialized)

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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