3月12日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 憲法〈3〉
A事件現場において、現場保存のため立入禁止区域を設定し、甲巡査が現場保存に当たっていたところ、B新聞社の乙記者が立入禁止区域に勝手に入り込み、関係者から直接取材しようとした。そこで、これを規制したところ、「取材妨害だ。憲法でも報道の自由が認められている。」と抗議してきた。
この場合における「報道の自由」と「犯罪捜査と取材活動との関係」について述べなさい。

答案構成例
1.報道の自由
2.取材の自由
3.犯罪捜査と取材活動との関係
4.事例の検討
1.報道の自由
(1)意義
→報道機関が、新聞・ラジオ・テレビ等のマスメディアを通じて、事実を国民に知らせる自由をいう
(2)憲法上の根拠
憲法上、報道の自由を保障した明文の規定はない
→しかし、報道機関の報道は、一定の事実を一般大衆に伝達し、国民の「知る権利」に深く関係するものであるから、表現の自由についての憲法21条の保障の下にあるとされている
2.取材の自由
(1)意義
→報道機関が報道のための情報等を収集する自由をいう
(2)憲法上の根拠
→報道がその機能を発揮するには、自由な取材活動が必要不可欠であるから、報道の自由の一環として憲法21条によって保障される
(3)判例
→報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する
3.犯罪捜査と取材活動との関係
(1)取材の自由の制約
→取材の自由も、他の国民の有する権利・利益との調和を図るために、一定の制約を受ける
(2)犯罪捜査との関係
→当該犯罪の性質・軽重・適正迅速な捜査の遂行・証拠としての必要性と取材の自由が妨げられる程度・将来の取材活動への影響等を比較衡量して、どちらを優先すべきかを決する(判例)
4.事例の検討
→A事件現場において、新聞記者の立入りを禁止して、証拠の発見・収集を迅速に行うべき必要性は大きい
→他方、A事件現場の現場保存は、証拠を発見・収集するまでの一時的なものであり、取材の自由への影響は少ない
→したがって、B新聞社の乙記者の抗議は、当を得ないものというべきである

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憲法 1 (有斐閣アルマ)

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