3月15日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈11〉
次は、憲法17条の公権力の行使に当たる公務員が私人に損害を与えた場合の損害賠償についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)公務員が不法行為を行った場合の国家又は公共団体の賠償責任は、旧憲法下では不十分であったが、現憲法でこれを認めている。
(2)損害を受けた者は、不法行為をした公務員の属する地方公共団体に対し、賠償請求することができるが、直接その公務員に対しては賠償請求をすることはできない。
(3)同条は、その性格上、人身の自由や精神の自由等の固有の人権とは異なり、いはば、第二次的な救済又は保護手段であるから、厳格な意味での基本権に属さないと考えられている。
(4)公務員の不法行為成立の要件は、民法と異なり、刑過失の場合は不法行為は成立しないこととなっている。
(5)公務員の任命権者と給与負担者とが異なる場合には、損害を受けた者はそのいずれに対しても賠償請求できる。

憲法17条は、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」と定め、これを受けて国家賠償法が定められている。国家賠償法自体の解釈の問題は、一般行政法として出題されることが多いが、憲法の問題と絡めての出題もあるため、憲法17条の性格、明治憲法下での国家賠償請求などには注意を要する。

正解(4)
(4)誤り。
国家賠償法1条1項の「故意又は過失によって」の過失は、軽過失(通常、過失といえばこれを指す)の場合を除外するものではなく、民法不法行為(709条)と同様である
(1)正しい。
明治憲法下においては、憲法はもとより法律にも国家賠償に関する規定はなく、国家無答責の原則が支配していた
(2)正しい。
→賠償責任を負うのは「国又は公共団体」であり、公務員個人に対しては、直接被害者に対して責任を負うことはない(判例・通説)
→公務員に故意・重過失があった場合、国又は公共団体は公務員に求償できる(国賠法1条2項)ことに注意
(3)正しい。
→国務請求権あるいは受益権として、厳格な意味での基本権と区別されている
(5)正しい。
国家賠償法3条1項

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憲法 1 (有斐閣アルマ)

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憲法 2 (有斐閣アルマ)

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