4月7日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

次は、基本的人権についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)不可侵とされている権利は、日本国憲法第3章において保障されている諸権利のすべてではない。その権利のうちの基本権、すなわち、人間が人間であるがゆえに生まれながらにして当然に有する天賦の権利こそが不可侵である。
(2)基本的人権は、何人といえども侵すことができない権利であるから、憲法の各条項において特に「公共の福祉に反しない限り」との文言が付されている基本的人権を除き、国会は、公共の福祉のために必要があるとして基本的人権を制限する法律を制定することはできない。
(3)基本的人権は、現在のみならず将来にわたっても日本国民が享有する永久の権利であるから、憲法が定めている憲法改正手続によっても、基本的人権を将来において廃止することはできない。
(4)天皇は、すべての基本的人権を享有するわけではないが、人間として有すべき人権、例えば、思想及び良心の自由等は保障される。
(5)基本的人権は、自然人を対象としたもので、当然法人には及ばないが、財産関係の権利については、可能な限り保障される。

基本的人権の意義、性格については、いわば憲法常識ともいうべきものであるから、本問に挙げられた事項については、理解しておく必要がある。また、憲法11条(基本的人権の享有と本質)、12条(自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止)、97条(基本的人権の本質)は、憶えておくことが望ましい。

正解(2)
(2)誤り。
→公共の福祉とは、人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理であるから、公共の福祉は、憲法の規定にかかわらずすべての人権に論理必然的に内在している
(1)正しい。
日本国憲法は、14条以下において、詳細な人権規定を置いているが、それらの人権規定は、歴史的に国家権力によって侵害されることの多かった重要な権利・自由を列挙したもので、すべての人権を網羅的に掲げたものではない
→したがって、問題文後段のように言うことができる
(3)正しい。
憲法改正手続によりさえすれば、いかなる内容の改正も法的に許されるとする無限界説もある
→しかし、法的な限界が存するとする説が通説であり、国民主権、人権尊重主義、平和主義、憲法改正規定を改正することは許されないとする
(4)正しい。
天皇も、日本の国籍を有する日本国民であり、人間であることに基づいて認められる権利は保障される
→ただ、皇位世襲と職務の特殊性から必要最小限度の特例が認められる
(5)正しい。
→人権は、個人の権利であるから、その主体は、本来人間でなければならない
→しかし、経済社会の発展にともない、法人その他の団体の活動の重要性が増大し、法人もまた人権享有の主体であると解されるようになった

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憲法 1 (有斐閣アルマ)

憲法 1 (有斐閣アルマ)

憲法 2 (有斐閣アルマ)

憲法 2 (有斐閣アルマ)