4月8日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

行政法〈14〉
A県B警察署に勤務するC巡査は、パトカーで機動警ら中、前方に交通違反車両を認めたため、これを追尾しつつ交差点に進入したところ、折から同交差点に進入してきた乗用車(運転者D)と衝突し、双方とも車両が大破した。この場合の損害賠償責任について、正しいのはどれか。
(1)運転者Dは、国家賠償請求するか、あるいは民法の規定により損害賠償請求するか、有利な方法を選択できる。
(2)民法の規定により請求した場合、B警察署長がC巡査に対する平素の指導を徹底していれば、民法上の使用者責任は問われず、A県は賠償責任を免れる。
(3)A県は、事故の責任をC巡査に代わって負うことになり、C巡査は、個人としては損害賠償責任を負うことはない。
(4)C巡査は、本件事故について重大な過失があれば、運転者Dに対して損害賠償責任を負う場合もある。
(5)仮に、C巡査には本件事故に対する過失はないと認定されたとしても、A県には損害賠償の責任がある。

⇒公務員の不法行為による国家賠償の各要件は、問題文の一つとして必ず出題される。国家賠償の要件である「公権力の行使」、「職務関連性」、「故意・過失」、「違法性」の意義を理解し、記憶しておく必要がある。

正解(3)
(3)正しい。
国家賠償法1条1項
→この場合に生ずる国又は公共団体の損害賠償責任は、当該公務員に代わる責任(代位責任)と解されており、公務員個人は損害賠償責任を負わない
→したがって、C巡査が属するA県が損害賠償責任を負い、C巡査個人は責任を負わない
(1)誤り。
民法の規定は、国家賠償法に規定のない事項に補充的に適用される(国賠法4条)から、Dが国家賠償請求できるときは、民法による損害賠償請求はできない
(2)誤り。
民法による損害賠償請求できない
→A県の賠償責任は代位責任であり選任監督者の責任ではないから、選任監督の注意を怠らなくても、責任を免れない
(4)誤り。
不法行為を行った公務員に故意又は重大な過失があるときは、国又は公共団体は、その公務員に求償することができる(国賠法1条2項)
→公務員個人は責任を負わない
(5)誤り。
→公権力の行使に基づく損害賠償責任は、公務員に故意又は過失があることを要する過失責任主義がとられている
→したがって、C巡査に過失がないときは、A県は責任を負わない

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行政法

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はじめての行政法 (有斐閣アルマ)

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