4月15日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

行政法〈15〉
次は、行政不服審査法に規定する「教示制度」についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)行政不服審査法は、行政機関が処分する場合に、国民に不服申立先、期間等を教示するという制度を設けている。これは、個々の処分を行う場合に行政機関として教示を行うことを義務付けるものであって、処分時の手続としての性格を有する。
(2)利害関係人から書面で教示するように求められたときは、その教示を書面で行わなければならない。
(3)行政機関が誤った不服申立先または不服申立期間を教示したときは、その教示に従って行われた不服申立ては適法なものとして扱われる。
(4)「教示制度」は、他の法令に基づく不服申立てにも適用され、一般行政手続法たる性格を持つ。
(5)教示を受け得るのは処分の相手方に限られ、その他の利害関係人は、行政庁に対し教示を求め得ないことになっている。

⇒「不服申立て」に関する問題は、主に警部補試験・警部試験で出題されているが、巡査部長試験でも基本的な事項が出題されることがあるので、無視はできない。不服申立制度の趣旨を理解し、不服申立ての種類、不服申立ての主要な手続などは憶えておく必要がある。

正解(5)
(5)誤り。
→利害関係人は行政庁に対し教示を求めることができる(行審法57条2項)
(1)正しい。
行政不服審査法は、不服申立制度が十分活用されるように、行政庁が処分を行う場合、不服申立先、期間等を教示する教示制度を設けた
→教示制度は、不服申立ての手続の一環として、行政庁に対し、個々の処分を行う場合に教示すべき義務を課すものであるから、処分時の手続としての性格を有する
(2)正しい。
→利害関係人が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない(行審法57条3項)
(3)正しい。
→誤って教示された不服申立先に行った不服申立ては、初めから権限を有する行政庁になされたものとみなされ(行審法18条、46条)、誤って教示された不服申立期間内に不服申立てをすれば、法定の期間内に不服申立てをしたものとみなされる(行審法19条、48条)
(4)正しい。
→教示制度は、行政不服審査法に基づく不服申立てだけでなく、他の法令に基づく不服申立てに対しても広く一般的に適用される(行審法57条1項)
→したがって、教示制度は、一般行政手続法としての性格を有する

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行政判例百選 (1) (別冊ジュリスト (No.181))

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