4月16日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 行政法〈4〉
A巡査部長とB巡査は、忍び込み事件が多発する住宅街を深夜警ら中、路地からバッグを持って出てきた不審者を発見したので、直ちに職務質問を開始した。質問に対し、男はあやふやな返事しかしなかったが、質問がバッグに及ぶと、これを小脇に抱え、拒否する態度を示した。しかし、粘り強く追及すると「勝手にしろ。」と申し述べたので、A巡査部長らは、バッグのチャックを開き中を見た。その結果、ドライバー及び懐中電灯が入っていたので、軽犯罪法違反で現行犯逮捕した。
この場合において、所持品検査の法的根拠、限界及びA巡査部長らの行為の適否について述べなさい。

答案構成例
1.所持品検査の意義・根拠
2.所持品検査の限界
3.事例の検討

1.所持品検査の意義・根拠
(1)意義
→所持品検査とは、所持品を提示させてこれを検査することである
(2)根拠
→所持品検査は、職務質問と密接に関連し、職務質問の効果をあげる上で必要・有効な手段である
→したがって、職務質問に付随する行為として、警職法2条1項を根拠に行うことが認められる
2.所持品検査の限界
(1)承諾を得て行う所持品検査
→所持品検査は、任意手段である職務質問の付随行為であるから、所持人の承諾を得て、その限度において行うのが原則である
(2)承諾を得ない所持品検査
→承諾を得ない所持品検査も、一切許されないわけではない
→所持品検査の必要性、緊急性、相当性を判断して、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り許容される(判例)
3.事例の検討
(1)所持品検査
→A巡査部長らは、職務質問に付随する行為として、警職法2条1項を根拠に、所持品検査を実施できる
→男は説得に対して「勝手にしろ」と申し述べ、さらに、A巡査部長らは男の説得に当たって強制・威迫等の手段を用いていないことから、任意の承諾があったものと認められる
→バッグのチャックを開けて中を見た行為は、適法な所持品検査である
(2)逮捕行為
→男は、正当な理由なくドライバー及び懐中電灯等他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者であり、軽犯罪法違反(1条3号)で現行犯逮捕できる

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はじめての行政法 (有斐閣アルマ)

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