4月20日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈16〉
次は、捜索・差押え等を実施する場合の立会人についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)検証許可状により被疑者の居宅を検証する場合、被疑者の弁護人から、検証に立ち会わせてくれとの申出があったときは、拒絶することができない。
(2)捜索差押許可状の執行に際し、被疑者甲が立会いを拒否し、かつ、隣人の立会いによる家屋内への立入りをも拒んだ場合、この立会人を立ち会わせて執行に着手することができる。
(3)被疑者甲に係る窃盗事件で、甲を立会人として、同人方の捜索差押えを実施してもよい。
(4)捜索許可状により県立高校内を捜索しようとしたが、学校長が立会いを拒否したので、県教育委員会の職員を立会人として捜索を行った。
(5)捜索差押許可状を被執行者に示したところ、同人はそれを破り捨ててしまったが、同人を立会人として捜索に着手した。

⇒捜索・差押えにおける立会いは、見過ごされがちであるが、出題例も多く、注意すべきである。立会いについては、公務所内で捜索・差押えを執行する場合と公務所以外での場合があるが、前者での出題例が圧倒的に多い。条文(114条)の文言の意味など、丁寧な準備が必要である。

正解(1)
(1)誤り。
→刑訴法222条は、被告人・弁護人の強制処分立会権を規定した113条を準用していないので、捜査機関が行う捜索・差押えに被疑者又は弁護人はこれに立ち会う権利を有しない
(2)正しい。
→刑訴法114条2項の「立ち会わせることができないとき」には、住居主等が立会を拒否した場合も含まれる
(3)正しい。
→刑訴法222条6項。「必要があるとき」の判断は、差押え等を実行する捜査機関にゆだねられている
→身柄拘束中の被疑者については、強制的に立ち会わせることができる
(4)正しい。
→刑訴法114条1項の「これに代わるべき者」とは、社会通念に照らし客観的合理的に判断して、長不在又は差し支えの際にその長に代わってその職務の全部又は一部を行い得る地位にあると認められるものであればよいと解されている
→県教育委員会の職員はこれに当たる
(5)正しい。
→令状の呈示は、捜索・差押えの開始の要件であり、継続の要件ではない
→したがって、令状呈示後、これを紛失(奪取、破棄)しても、そのまま捜索・差押えを継続することができる

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刑事訴訟法 第3版 (有斐閣アルマSpecialized)

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演習刑事訴訟法 (法学教室Library)

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