4月21日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈16〉
次は、憲法14条の「法の下の平等原理」についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)憲法14条は、専ら国又は公共団体と個人との法律関係を規律する規定であり、私人相互間の法律関係を直接に規律するものではない。
(2)地方自治体の条例で、処罰の対象とされていない行為を他の地方自治体の条例で処罰する規定を設けることは、憲法14条に違反しない。
(3)法の下の平等原理は、日本国民に保障された原理であるから、外国人はこの平等原理の適用対象から除外される。
(4)テニス場などスポーツ施設を利用する場合と課税上区別して、ゴルフ場を利用する者に対し娯楽施設利用税を課すこととしても、憲法14条に違反しない。
(5)A会社社長は、従業員を募集するに当たり、自己と同じ宗教を信じていないとの理由により雇わなかった。A社長のこの行為は、憲法14条に違反しない。

憲法14条の「法の下の平等」は、13条の包括的基本権と同じく、個人権であるとともに人権の総則的な意味をもつ重要な原則である。したがって、出題例も多い。14条の文言の意味や重要判例が出題材料とされている。

正解(3)
(3)誤り。
憲法14条1項は、「すべて国民は」法の下に平等であると規定するが、この「国民」は、日本国民を意味する
→現在の世界が国家という単位をその法体制の基礎としている以上、ある程度の差別が外国人にみとめられるのはやむを得ないとされる
→しかし、国家に直接関係のない生活関係においては、国民と外国人との間にも、事情の許す限り、憲法14条の原則がみとめられるべきことは当然であるとされている
(1)正しい。
憲法基本的人権規定は、公権力との関係で国民の権利・自由を保護するものであり、私人相互間には直接的には適用されない
公序良俗に反する法律行為は無効であると定める民法90条のような私法の一般条項を、憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用することによって、間接的に私人間の行為を規律しようとする間接適用説が判例・通説である
(2)正しい。
判例は、憲法が各地方公共団体条例制定権を認める以上、地域によって差別を生じることは当然予想される(最大判昭33・10・15)としている
(4)正しい。
→テニスや水泳などのスポーツ施設利用者には課せられない「娯楽施設利用税(ゴルフ場利用税)」がゴルフ場利用者に課せられるのは「法の下の平等」に反するか
→ゴルフ場の利用は、特定の高額所得者が中心をなし、利用料金も高額であって担税力を示す消費行為であるから、これを区別するのは合理的であり、憲法14条に違反しない(最判昭50・2・6)
(5)正しい。
→企業者は、経済活動の一環として契約締結の自由を有する。したがって、企業者が特定の宗教、信仰、思想、世界観等を理由に雇い入れを拒んでも当然には違法とはいえない(最大判昭48・12・12)
労働基準法3条は、使用者は労働者の信条等を理由として差別的取扱いをしてはならない旨を定めており
、したがって、特定の信条を有することを解雇の理由とすることは違法であるとされている
→雇入れと解雇の場合は異なるので注意を要する

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別冊ジュリスト No.186 憲法判例百選1

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別冊ジュリスト No.187 憲法判例百選2

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