6月1日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈22〉
次は、物に対する任意捜査のうち、領置の効果についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)領置物について、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができる。
(2)任意提出された物を領置した場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくはこれらの者に代わるべき者に交付しなければならない。
(3)危険を生ずるおそれがある領置物は、廃棄することができる。
(4)領置物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、仮還付することができる。
(5)領置した贓物で留置の必要がない物については、被害者に還付しなければならない。

⇒領置それ自体が単独で出題される例は少ないが、「還付・仮還付」と関連するものであるから、知識として押さえておかなければならない。
⇒領置とは、捜査機関が、被疑者その他の者の遺留品、又は任意に提出された物、の占有を取得する処分をいう
⇒占有取得を強制的に行わない点、証拠物又は没収すべき物と思料するものでなくても可能な点で差押えと異なるが、占有取得後は差押物と同じ扱いを受ける

正解(5)
(5)誤り。
→被害者が、法律上当該物品の引渡を請求する権利のあることが明瞭な場合に限って、被害者に還付する(刑訴法222条1項、124条1項)
(1)正しい。
→刑訴法222条1項により111条2項が準用されているので、領置物についても、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができる
(2)正しい。
→刑訴法222錠1項で準用する120条は、「押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない」と定めている
→この場合は、捜索証明書(119条)とは異なり、請求を待たずに交付しなければならない
(3)正しい。
→刑訴法222条1項で準用する121条2項は、「危険を生ずる虞がある押収物は、これを廃棄することができる」と定めている
(4)正しい。
→刑訴法222条1項で準用する123条2項は、「押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる」と定めている

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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条解刑事訴訟法

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