6月9日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈23〉
次は、憲法14条に定める「法の下の平等」についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)本条にいう「法」には、成文法はもちろん、慣習法も含まれる。
(2)本条にいう「平等」は、恣意的な差別的取扱い、又は不合理な差別的取扱いが禁止されるが、合理的差別は何ら本条に反するものではない。
(3)本条の「すべて国民は、法の下に平等である」という場合の「国民」は、日本国民を意味しているが、国家に直接関係のない生活関係においては、事情の許す限り、本条の原則は外国人にも適用される。
(4)天皇及び皇族は、憲法によってその存在が認められており、法の下の平等に反するものではない。
(5)労働条件に関し、女子労働者を優遇することは、合理的な理由のない差別であるから憲法上許されない。

憲法14条の「法の下の平等」は、憲法13条の包括的基本権と同じく、個人権であるとともに人権の総則的な意味をもつ重要な原則である。「法の下」の意味(法適用の平等のみを意味するのか否か)、「平等」の意味(形式的平等と実質的平等、相対的平等と絶対的平等)、平等の具体的内容(14条1項後段)は理解しておく必要がある。

正解(5)
(5)誤り。
憲法は、性別による差別を禁止しているが、これは、主に女性に対する不合理な差別の禁止を意味する。男女には、実際に肉体的・生理的な条件の違いがあり、その面からくる女性保護のための合理的な区別は認められ、あるいは積極的に要請される
→労働条件に関し、女子を優遇することは合理的な理由にもとづくものである
(1)正しい。
→本条にいう「法」とは、あらゆる成文法と不文法とを含み、慣習法も含まれる
(2)正しい。
法の下の平等原則は、個人主義の理念に照らして、不合理と考えられる理由に基づく差別を禁止しようとするものである
(3)正しい。
→平等原則が適用される範囲は、直接には日本国民である
→しかし、外国人には日本国憲法の平等原則が全く適用されないとするのは妥当でなく、個人の尊厳を損なうような差別や、外国人と日本国民との区別の本質にかかわらない理由に基づく差別は認められない
(4)正しい。
憲法は、天皇の地位について世襲制を認めており、それに必要な範囲で、天皇や皇族について、法の下の平等の例外を認め、一般国民と違った取扱いを定めることは、憲法の認めるところである

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憲法判例を読む (岩波セミナーブックス)

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別冊ジュリスト No.186 憲法判例百選1

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