6月14日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈24〉
次は、逮捕・監禁罪についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)被害者の両足をロープで縛り、約5分間引きずり回す行為は、逮捕罪が成立する。
(2)入浴中の婦人の衣服を隠して浴室から出られなくする行為については、監禁罪が成立する。
(3)監禁罪の客体となる「人」は、行動の意思ないし自由を有する者に限られるから、幼児や泥酔者などは、本罪の客体とならない。
(4)いやがる被害者を原動機付自転車の荷台に乗せて、約1,000メートル余り疾走する行為については、監禁罪が成立する。
(5)逮捕・監禁の手段として行われた暴行・脅迫は、逮捕・監禁罪に吸収される。

⇒逮捕・監禁罪の出題頻度は、「自由に対する罪」の分野ではAランクである。逮捕と監禁のそれぞれの概念を正確に理解しておくことはもちろんであるが、熟睡中の者や泥酔中の者も本罪の客体となるか、不作為による監禁や情を知らない者を利用する間接正犯などに注意を要する。

正解(3)
(3)誤り。
身体活動の自由は、その主体が行動したいときに行動できるという潜在的な自由で足りるので、幼児や泥酔者も本罪の客体となる。
(1)正しい。
→「逮捕」とは、人の身体を直接的に拘束してその身体活動の自由を奪うことをいう
(2)正しい。
→「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにして、その身体活動の自由を奪うことをいう
→その手段・方法に制限はなく、被害者の羞恥心を利用する無形的・心理的方法によることも可能である
(4)正しい。
→監禁の場所は、いわゆる「囲い場所」であることを必要としない
(5)正しい。
→逮捕・監禁の手段として行われた暴行・脅迫は、逮捕・監禁罪に吸収され、別罪を構成しない
→ただし、逮捕・監禁が未遂に終わった場合には、本罪に未遂を処罰する規定がない以上、その手段として行われた暴行・脅迫が、それぞれ暴行罪・脅迫罪を構成することになる


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事例から刑法を考える (法学教室Library)

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判例刑法総論 第5版

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