8月3日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈31〉

次は、告訴権者について列挙したものであるが、誤りはどれか。
(1)被害者の法定代理人
(2)被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族、兄弟姉妹
(3)被害者の法定代理人が被疑者であるときは、被害者の親族
(4)死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族、子孫
(5)親告罪について、告訴をすることができる者がいないときは、検察官

⇒告訴に関しての問題は、細かいところまで出題されているので、事前に整理しておくことが必須となる。告訴の意義、告訴権者、告訴の手続、告訴の効果、告訴期間などについて整理しておくことが望ましい。

正解(5)
(5)誤り。
親告罪について告訴できる者がいない場合には、検察官は、利害関係人の申立てにより告訴することができる者を指定することができる(刑訴法234条)
→したがって、告訴権者がない場合の法定告訴権者は、検察官ではなく「検察官が指定する者」である
(1)正しい。
→被害者の法定代理人は、独立して告訴することができる(231条1項)
→被害者が無能力者である場合、被害者を保護するため、親権者や後見人等に告訴権を与えたものである
(2)正しい。
→被害者が告訴をしないで死亡した場合には、死亡被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹は、死亡被害者の明示した意思に反しない限りにおいて、告訴することができる(231条2項)
→被害者が死亡して告訴できない場合に、被害者を保護するため、一定の親族に告訴権を与えたものである
(3)正しい。
→被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の4親等内の血族もしくは3親等内の姻族であるときは、被害者の親族は独立して告訴することができる(232条)
→これらの場合、法定代理人の正常な告訴権の行使を期待できないので、無能力者保護のため告訴権者を広げたのである
(4)正しい。
→死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴することができる(233条1項)
→死者の名誉を毀損した罪(刑法230条2項)については、死者自身は告訴することが不可能なので、刑訴法230条の特則として、その親族又は子孫に告訴権を認めたものである

図解でわかる刑事訴訟法 (入門の法律)

図解でわかる刑事訴訟法 (入門の法律)

条解刑事訴訟法

条解刑事訴訟法