8月17日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈32〉
次は、法律の成立手続についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき成立する。
(2)衆議院で可決し、参議院で異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の過半数で再び可決したときは成立する。
(3)参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
(4)衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案について、衆議院両院協議会を開くことを求めることができる。
(5)法律案の提出については、議院のほかに内閣もこれを行うことができる。

⇒法律の成立に関する憲法59条は、衆議院の優越との関連で、よく出題されるところである。3項の両院協議会についても、その種類(必要的両院協議会、任意的両院協議会)とその内容を押さえておいて欲しい。

正解(2)

(2)誤り。
憲法59条2項は、衆議院で可決した法律案を、参議院が否決あるいは修正を加えて可決した場合は、「衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したとき」は、参議院の意思にかかわらず、それが法律となると定めている
→したがって、問題文の、「出席議員の過半数で再び可決」とあるのは誤りである
(1)正しい。
憲法59条1項
→法律案は、「両議院で可決したとき」に法律となるのが原則である
→ただし、例外として、「この憲法に特別の定めがある場合」には、両議院の可決がなくても法律が成立する
(3)正しい。
憲法59条4項
→ここにいう「否決したものとみなすことができる」とは、参議院は否決したものとみなすという議決をすることができるという意味であり、この議決がないのに、法定期間の経過とともに当然に「否決したもの」とみなされる効果が発生するのではない
→この「否決したものとみなす」議決は、通例の多数決によるが、その法律案を再び可決するには、59条2項による3分の2以上の多数によることが必要である
(4)正しい。
憲法59条3項
→法律案の議決の場合は、衆議院には3分の2による再議決権があるから、衆議院が要求したとき、又は参議院が要求して衆議院が同意したときに、両院協議会(任意的)が開催されることになる
(5)正しい。
憲法上、内閣が法律案を提出できるとする明文規定はない
→しかし、憲法72条が、内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出できると定めているが、ここにいう「議案」の中に法律案が含まれると解されている

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別冊ジュリスト No.186 憲法判例百選1

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