8月18日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

行政法〈32〉
次は、行政処分についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)行政処分には、許可、命令(下命)、免除、認可等がある。
(2)行政機関が、法律の根拠に基づいて、権力的に国民の権利・義務を変動させることを、「行政処分」又は「行政行為」という。
(3)すべての行政処分は、仮にその処分に違法な点があっても、相手方の国民の権利・義務を変動させるという法律上の効力を生じる。
(4)行政処分、特に許可には、それに付随的な意思表示が付される場合があり、これを附款という。
(5)行政処分の撤回は、将来にわたってその効力を失わせるものである。

行政法学上の用語である「行政行為」に該当する一般的な語として、実定法上、「行政庁の処分」とか「行政処分」の語が使用されていることに注意を要する。行政処分の定義は暗記して欲しい。法律の根拠を要することと、権力的作用として一方的に行えることがポイント。行政処分の分類は頻出である。

正解(3)

(3)誤り。
法治主義の原則の下、行政処分は法令に従わなければならず、法令に反するときは、違法な行政処分となる
→違法な行政処分は、取り消し得べき行政処分と無効な行政処分に分けられる
→無効な行政処分は、初めから何らの法律上の効力を生じないが、取り消し得べき行政処分は、取り消すまでは一応有効なものと取り扱われ、相手方である国民の権利・義務を変動させるという効力を生じる
→したがって、違法な行政処分のすべてが、相手方である国民の権利・義務を変動させるという法律上の効力を生じさせるわけではない
(1)正しい。
行政処分は、処分の内容が意思表示を要素とするか否かによって、意思表示を要素とする処分を命令的処分(下命、禁止、許可、免除)と形成的処分(特許、剥権、認可、代理)とに分け、意思表示を要素としない処分を確認・公証・通知・受理に分けるのが一般である
(2)正しい。
→「行政処分」は、行政法学上の「行政行為」に相当するもので、問題文のように定義されている
(4)正しい。
行政処分の附款とは、行政処分の効果を制限するために、主たる意思表示に付加された付随的な意思表示をいい、条件・期限・負担などがあり、特に許可に付されることが多い
(5)正しい。
行政処分の撤回とは、その成立に違法な点はないが、その効力を存続させておくことが公益に反する新たな事由が生じたため、将来に向かってその効力を失わせる行為をいう

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はじめての行政法 第2版 (有斐閣アルマ)

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行政法 (LEGAL QUEST)

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