8月31日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

行政法〈34〉
次は、地方公務員法に定める秘密を守る義務についての記述であるが、正しいのはどれか。
(1)職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないが、退職後はその義務はない。
(2)職員が、法令による証人・鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合は、所属長の許可を受けなければならない。
(3)法令による証人・鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合における許可は、法律の特別の定めがある場合や、基本的人権を侵害するおそれのある場合のほか、拒むことができない。
(4)職員が、職務上知り得た秘密を漏らした場合は、分限処分の対象となる。
(5)職員が、職務上知り得た秘密を漏らした場合は、刑罰の適用がある。

⇒公務員の服務に関する事項としては、職務に専念する義務、法令及び上司の命令に服従する義務、秘密を守る義務などが代表的なものであるが、一般行政法の分野では出題頻度の高いところである。条文の文言がそのまま問題文として使われることが多いので、特に、地方公務員法30条〜38条は、注意すべきである。

正解(5)

(5)正しい。
→行政に対する住民の信頼と行政目的の円滑な実現を確保するため、地方公務員は守秘義務を負い、職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと規定されている(地公法34条1項)
→この秘密を守る義務の重要性を考慮し、職員が職務上知り得た秘密を漏らした場合は、刑罰が適用され、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられる(地公法60条2号)
(1)誤り。
→職員が職務上知り得た秘密を漏らすことによって生ずる行政に対する住民の信頼を損なう点は、在職中でも退職後でも変わらない
(2)誤り。
→職員が、法令による証人・鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合は、「任命権者」の許可を受けなければならない(地公法34条2項)のであって、所属長ではない
(3)誤り。
→任命権者の許可は、証人・鑑定人等となって証言することの重要性を考慮し、「法律に特別の定めがある場合を除く外、拒むことはできない」(地公法34条3項)と定められている
→したがって、許可を拒むことができるのは、法律に特別の定めがある場合だけである
(4)誤り。
→職員が、職務上知り得た秘密を漏らした場合は、「この法律(地公法)に違反した場合」に当たり、公務員の義務違反に対する制裁として科せられる懲戒処分の対象となる(地公法29条1項1号)
→分限処分の対象とはされていない

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