9月1日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈34〉
次は、未遂犯についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)犯罪の実行に着手したが、これを遂げなかった場合を未遂犯という。
(2)犯罪が未遂であるか、既遂であるかは、実行行為が犯罪の構成要件を完全に充足したか否かによって定まるのであって、完全に充足した場合は既遂犯であり、完全に充足しない場合が未遂である。
(3)障害未遂とは、意外の障害によって犯罪の実行を遂げなかった場合をいい、必ずその刑を減軽し、又は免除しなければならない。
(4)着手未遂とは、犯罪の実行に着手したが、その実行行為を終了するに至らなかった場合をいう。例えば、相手を殺そうとしてねらいを定め、引き金に手を掛けたとたんに逮捕されたような場合である。
(5)実行未遂とは、実行行為を終了したが、結果が発生しなかった場合をいう。例えば、銃を発砲したが、弾がそれて命中しなかったような場合をいう。

⇒未遂(障害未遂、中止未遂、予備・陰謀)の分野での出題傾向は、知識問題・事例問題・各犯罪の実行の着手時期に関する問題に分類できる。本問は知識問題であるが、知識問題は知識を整理しておくことで十分対処できるので、落とせない問題の一つである。

正解(3)

(3)誤り。
→未遂犯は、「遂げなかった」理由により、中止未遂と障害未遂とに分けられる。
→「自己の意思により犯罪を中止た」場合が中止未遂であり、それ以外の方法で未遂に終わった場合が障害未遂である
→未遂犯の処分は、中止未遂の場合は、必ず刑を減軽又は免除しなければならないが(刑法43条ただし書ー刑の必要的減免事由)、障害未遂の場合は、刑を減軽することができるにすぎない(刑法43条本文ー刑の任意的減軽事由)
(1)正しい。
→未遂犯とは、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」場合をいう(刑法43条本文)
→広い意味では、中止未遂、すなわち、「自己の意思により犯罪を中止したとき」(43ただし書)を含むが、狭い意味では、これを除いたもの、すなわち、障害未遂を指す(43条本文)
(2)正しい。
→構成要件的結果も含め、全構成要件要素が満たされることを「構成要件の充足」といい、犯罪が完成された状態を意味する
→したがって、構成要件が充足されて、犯罪は初めて既遂となる
→構成要件が完全に充足しなくても、法益侵害の高度の危険性が認められる行為がある
→犯罪の実行に着手する以前の段階として、予備・陰謀、更に進んで、犯罪の実行に着手しただけの段階として、未遂がある
(4)、(5)正しい。
→未遂犯は、「遂げなかった」態様により、着手未遂と実行未遂とに分けることができる
→着手未遂とは、実行の着手はあったが実行行為そのものが終了しなかった場合であり、実行未遂とは、実行行為は終了したが構成要件的結果が発生しなかった場合である

http://syounin.com/

刑法基本講義―総論・各論

刑法基本講義―総論・各論

刑法

刑法