9月20日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈37〉
次は、憲法改正についての記述であるが、正しいのはどれか。
(1)日本国憲法は、改正の比較的容易な軟性憲法といわれている。
(2)国会の発議は、総議員の3分の2以上の多数が必要であるが、これは、衆議院参議院の両院合わせて総議員の3分の2以上と解されている。
(3)国会の発議については、衆議院の優越が憲法上規定されていない。
(4)憲法改正は、天皇天皇の名によって公布することとなる。
(5)憲法改正の手続きに従えば、その改正等の内容は、現憲法国民主権主義、基本的人権尊重主義等の基本原理そのものを否定することも可能であると解されている。

⇒「憲法改正」からの出題は、★一つであるが、出題された場合は、問題の内容からみて必ず取らなければならない問題でもある。96条は正確に記憶すること。問題の内容の傾向は、「各議院の総議員」の3分の2以上の賛成で国会がこれを発議すること、を中心にして作られた問題が多い。

正解(3)

(3)正しい。
憲法は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し」(96条前段)と定める
→「国会の発議」とは、憲法改正案を作成して国民に提案することである
→国会による発議の議決が成立するには、各議院で同一内容の改正案が可決されなければならないが、この議決については、衆議院参議院の地位は対等であり、法律の議決、予算の議決などのような衆議院の優越性は憲法上規定されていない
(1)誤り。
憲法改正が通常の立法手続きできるとするのが「軟性憲法」である
→これに対して「硬性憲法」は、通常の立法手続よりも厳重な手続を要求して、改正を難しくするものである
日本国憲法は、その改正について、「各議委員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と定めており、硬性度が高いものになっている
(2)誤り。
→ここにいう「総議員」とは、両議院の議員を合わせたものをいうのではなく、それぞれの議院の現に在職する議員の総数をいう
(4)誤り。
憲法96条2項は、「天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」と規定している
→「国民の名で」とは、憲法改正が主権の存する国民の意思によって成立したとする趣旨を示す
(5)誤り。
憲法改正とは、既存の憲法を前提として、その基本的性格、基本的原理の同一性を維持しながら、これに変更を加えることである
→したがって、日本国憲法の基礎をなす国民主権主義、基本的人権尊重主義等の基本原理そのものを否定するようなものは、憲法改正の限界を超え、96条の憲法改正手続によっては許されない

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