10月21日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈41〉
次は、捜索・差押え・検証についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)被疑者を逮捕する場合において、必要があるときは令状によらなくても、人の住居又は看守する邸宅、建造物、船舶内に入って被疑者を捜索したり、逮捕現場で捜索、差押え、検証をすることができる。
(2)令状に、夜間でもできる旨の記載がなければ、日出前及び日没後において、捜索、差押え、検証のため、人の住居、看取する邸宅、船舶内にはいることはできない。
(3)捜索を行うにあたっては、立会人又は特に許可を受けた者以外の者をその場所から退去させ、又は出入りを禁止することができる。
(4)緊急逮捕の現場で、令状によらない捜索、差押えを実施して差し押さえた物は、逮捕状が発付されなかった場合は、直ちに還付しなければならない。
(5)捜索した結果、証拠物、押収すべき物がなかった場合は、処分を受けた者に対し、必ず捜索証明書を作成し交付しなければならない。

⇒「物に対する強制捜査」の分野では、捜索・差押え・検証・身体検査が頻出である。それぞれについて、令状のよる場合と令状によらない場合に分けて整理しておかなければならない。その際、222条による準用規定(99条〜140条)に注意する必要がある。

正解(5)

(5)誤り。
→捜索した結果、差押物がなかったときは、「捜索を受けた者の請求」によって捜索証明書を交付しなければならない(222条1項で準用する119条)
→捜索証明書は、押収品目録交付書とは異なり、捜索を受けた者の請求があった場合にのみ交付すれば足り、請求がない場合には交付する必要はない
(1)正しい。
→被疑者・現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、令状なくして、ア.人の住居又は人の看取する邸宅・建造物・船舶内に入って被疑者の捜索をすること、イ.逮捕の現場で捜索・差押えをすることができる(220条1項、3項)
憲法35条が宣言する令状主義も、それをあらゆる事態に徹底させることは、捜査活動の自由を逆に阻害することになり、緊急の必要に即応できないおそれを生じることから規定されたものである
(2)正しい。
→刑訴法は、117条の例外にあたる場合を除いて、日出前・日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押え又は捜索の実行のため、人の住居又はひとの看守する邸宅・建造物・船舶内に入ることはできないと規定する(116条1項)
→夜間における私生活の平穏を保護するため、捜索・差押えについて時間的制限を規定したものである
(3)正しい。
→捜査機関は、捜索又は差押えの執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入りすることを禁止することができると規定している(222条1項で準用する112条1項)
→捜索・差押えをするについて妨害があるときは、これを排除して目的を達成するために、令状の執行者に一定の権限を与えたものである
(4)正しい。
緊急逮捕の場合に逮捕状が得られなかったときは、差押物を直ちに還付しなければならない(220条2項)

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刑事訴訟法 第6版

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図解でわかる刑事訴訟法 (入門の法律)

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