10月25日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ
こんにちは。水野です。
憲法〈42〉
次は、憲法上、被疑者に保障されている権利を列挙したものであるが、誤りはどれか。
(1)不法に逮捕されない権利
(2)不法に抑留及び拘禁されない権利
(3)勾留理由の開示請求権
(4)自己に不利益な供述の拒否権
(5)国選弁護人依頼権
⇒「人身の自由」は、憲法の最重要分野である。憲法31条〜40条は、暗記しておくべきである。条文を知っているだけで取れる問題が多い。
正解(5)
(5)誤り。
→学説では、憲法34条あるいは37条3項から、被疑者国選弁護制度を憲法の要請とする説もあるが、憲法37条3項は、「刑事被告人」の国選弁護制度を保障し、被疑者の国選弁護制度の導入は法律に委ねられたものと解釈するのが一般である
→判例も、憲法37条3項の「刑事被告人」は「公訴提起後の被告人に関する規定であって、これが公訴提起前の被疑者についても適用されるものと解する余地はない」(最大判平11・3・24)とする
→刑事訴訟法の改正により、勾留被疑者に対する国選弁護制度が導入され、平成18年10月2日から施行されている
(1)正しい。
→憲法33条が規定する
→本条は、令状主義を採用することによって、逮捕の必要性の有無について事前に裁判官を関与せしめ、その判断に基づいて発せられる令状によらなければ逮捕されないとし、これによって捜査機関の専断的な判断による不当逮捕を防止しようとする
(2)正しい。
→憲法34条前段は、逮捕後なされる人身の自由の拘束に関して、理由を直ちに告げられ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えることによって、身体の自由を奪われた者が自己の自由を防御できるようにすることを保障する
(3)正しい。
→憲法34条後段は、拘禁について「要求があれば、その理由は、直ちに本人及び弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない」と規定する
→刑事訴訟法は、その趣旨を受けて、勾留理由開示の制度(82条以下)を定めている
(4)正しい。
→憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定する
→被疑者、被告人だけでなく証人についても、その者が自己にとって不利益な供述を避けたとき、それについて刑罰を科したり法律上不利益を与えることを禁ずる趣旨である
→刑事訴訟法が、被疑者及び被告人に対して供述拒否権ないし黙秘権を認めている(198条、311条)のは、この憲法の趣旨にもとづく
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