5月11日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑法〈68〉
次は、不法領得の意思についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)窃盗罪の成立の主観的要件として、故意のほかに不法領得の意思を必要とする説と不要とする説が対立しているが、判例は必要説に立つ。
(2)他人の自動車を無断で一時使用した後に乗り捨てた場合、当初から乗り捨ての意思があったときは、不法領得の意思が認められ窃盗罪が成立する。
(3)競売手続の進行を一時妨害する目的で、競売場から競売記録を持ち出して自宅に隠した場合、不法領得の意思が認められないから窃盗罪は成立しない。
(4)他人の自転車を無断で約4時間余り乗り回した後に元の場所に戻した場合、当初から元の場所に戻しておくつもりであったときは、不法領得の意思が認められないから窃盗罪は成立しない。
(5)会社の秘密資料をコピーして他人に譲り渡す目的で、その資料を無断で社外に持ち出してコピーを作成し、約2時間後に元の場所に戻した場合、不法領得の意思が認められ窃盗罪が成立する。

⇒窃盗罪が成立するためには、故意のほかに不法領得意思が必要である、と解するのが判例・通説である。窃盗罪が領得罪の典型的なものである以上、その成立にとって不法領得の意思は不可欠の主観的要件となるからである。それゆえ、単に一時使用の目的または毀棄・隠匿の意思で他人の物の占有を侵害した場合は、窃盗罪を構成しない。この点を十分に理解しておく必要がある。さらに、不法領得の意思が必要であるとしても、その内容をどのように理解するかについては、見解は一致しない。判例の定義を押さえておく必要がある。

正解(4)

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新・論点講義シリーズ2 刑法各論 (新 論点講義シリーズ)

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基本判例に学ぶ刑法総論

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