6月11日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

論文問題 行政法〈6〉

A警部補は、午後6時頃、繁華街を警ら中、指名手配中の空き巣犯人に酷似している男を発見したので職務質問を行った。その結果、男に対し同行の必要を認めたので、本人に同行を求めたところ、これに応じようとしなかった。
このような場合、A警部補が警察官職務執行法に基づいて取り得る措置について述べなさい。

答案構成例
1.任意同行(同行要求)の意義
(1)意義
(2)法的性質
2.任意同行の要件
3.任意同行の手段と限界
(1)手段
(2)限界
4.事例の場合の取りうる措置
(1)任意同行の可否
(2)取りうる措置

1.任意同行(同行要求)の意義
(1)意義
→任意同行(警職法2条2項)とは、職務質問を継続するという目的のために、被質問者に対して警察官とともに警察署等に行くことを求めることができる権限をいう
(2)法的性質
→同行要求は、任意手段として認められたものであり、相手方を強制的に同行させることはできない
2.任意同行の要件
ア.その場で質問をすることが本人に対して不利である場合
→公衆の中で本人の名誉が傷つけられる場合、寒暑、風雨の場合等である
イ.交通の妨害になると認められる場合
→その場で質問をすることが、交通の支障となる場合である
3.任意同行の手段と限界
(1)手段
→同行要求において、相手方を説得することは当然に許される
→同行要求における実力の行使は、説得手段として許される限られた態様の場合を除いては認められず、継続的に説得するしかない
(2)限界
→強制にわたる有形力の行使は許されない
→強制手段に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許される範囲があるが、必要性、緊急性なども考慮した上、具体的状況の下で相当と認められる限度において許容される
→例えば、具体的状況によっては、立ちふさがったり、肩に手をかける等の行為をすることができる
4.事例の場合の取りうる措置
(1)任意同行の可否
→設問の男は指名手配中の空き巣犯人に酷似し、犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるということができ、職務質問の対象者である
→午後6時頃の繁華街であるから、公衆の中で本人の名誉が傷つけられ、また、交通の支障にもなり、任意同行の要件を満たす
(2)取りうる措置
→同行要求に応じるように説得することができるのは当然であるが、同行要求に応じない場合でも、強制的に同行させることはできない
→男は、指名手配中の空き巣犯人に酷似し、その不審点を解明するため質問を継続する必要性、緊急性があり、立ち去ろうとした場合には、前に立ちふさがったり、肩に手をかける等の行為は、説得を継続する上で相当と認められる

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行政法

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行政法 (LEGAL QUEST)

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