4月27日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈17〉
次は、逮捕状の緊急執行についての記述であるが、正しいのはどれか。
(1)逮捕状の緊急執行の前提条件は、既に発付されている逮捕状を現実に所持していないことと、急速を要するときであったことの二つである。
(2)逮捕状の緊急執行であることから、被疑事実の要旨の告知は、逮捕して留置した後でよい。
(3)被疑事実の要旨の告知は、罪名のみで足りる。
(4)指定手配被疑者を緊急執行により逮捕したところ、逮捕状の有効期限が切れていたことが判明したが、この場合被疑者は釈放せず、逮捕状の再発付を受ければよい。
(5)逮捕に行く途中逮捕状を紛失したが、急速を要する場合であれば緊急執行により逮捕できる。

⇒「逮捕状の緊急執行」は頻出問題である。要件を暗記し、刑訴法73条3項の「公訴事実の要旨」、「急速を要するとき」の意味に関する判例を押さえておく必要がある。

正解(1)
(1)正しい。
→逮捕状の緊急執行の要件は、ア既に発付されている逮捕状を現実に所持しないためこれを提示できないこと、イ急速を要すること、である(201条2項、73条3項)
(2)誤り。
→逮捕状の緊急執行を行う場合は、逮捕状を示す代わりに、被疑者に対し、被疑事実の要旨及び逮捕状が発せられている旨の告知をしなければならない
→したがって、被疑事実の要旨の告知は、逮捕前にしなければならないのが原則である
(3)誤り。
→被疑事実の要旨の告知は、被疑者に理由なく逮捕するものではないことを一応理解せしめる程度に逮捕状記載の被疑事実の要旨を告げることをいう
→したがって、罪名を告げただけでは足りない
(4)誤り。
→逮捕状の有効期限が切れている場合は、逮捕状は無効であるから、その逮捕状の緊急執行もできない
→したがって、当該逮捕は違法であり、被疑者を釈放しなければならない
(5)誤り。
→逮捕状の緊急執行を行った場合には、逮捕後できる限り速やかに逮捕状を被疑者に示さなければならない(201条、73条3項ただし書)
→被疑者を逮捕する以前に逮捕状を紛失した場合、逮捕状を被疑者に呈示することは不可能であるから、逮捕手続の適法要件を充足させることはできず、したがって、逮捕状の緊急執行をすることはできない
→この場合、紛失した旨を刑事訴訟規則142条1項8号に従って記載し逮捕状を再請求することになる

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刑事訴訟法 第3版 (有斐閣アルマSpecialized)

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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