8月25日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

刑訴法〈34〉

次は、供述の自由の告知についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)警察官は、任意出頭した被疑者の取調べをすることができるが、この取調べをする際には、被疑者に対してあらかじめ供述の自由の告知をしなければならない。
(2)供述の自由の告知は、被疑者の憲法刑事訴訟法上の権利を保護するとともに、反面、自白の任意性の裏付けとしようとする意味で設けられた手続である。
(3)被疑者の氏名などは、原則として、憲法38条にいう自己に不利益な供述には該当しないから、供述の自由の告知は、被疑者の住居、氏名などを尋ねた後、犯罪事実についての取調べを始める前の段階で行えばよい。
(4)被疑者に対して既に供述の自由の告知をして取り調べていれば、取調べの途中で捜査官が代わる場合や、取調べが中断し、相当期日が経ってからまた取調べを再開する場合でも、再告知する必要はない。
(5)参考人を呼び出す方法、参考人の出頭又は退去の自由、取調べ、その供述を参考人供述調書として作成する方法については、すべて被疑者の場合と同じであるが、ただ、参考人の取調べに当たっては、あらかじめ供述を拒否できる旨を告げる必要はない。

⇒供述拒否権の告知に関する問題は、頻出である。告知の趣旨(憲法38条1項との関係)、告知の時期、告知の方法、告知の例外、などについて整理しておく必要がある。

正解(4)

(4)誤り。
→刑訴法198条2項は、被疑者の取調べに際し、捜査機関に、供述拒否権の告知を義務付けている
→これは、取調べを受ける被疑者を心理的圧迫感から解放して、供述の任意性を確保するためのものであると同時に、被疑者に対して自白を強要しないように取調官に自戒させるためのものである
→このような趣旨から義務付けられたものであるから、取調官が交代した場合や、相当期日が経ってから取調べを再開する場合は、供述拒否権の再告知が必要であると解されている
(1)正しい。
→供述拒否権の告知は、被疑者の任意出頭のよるもの、逮捕によるものを問わず、取調べをするときに、必ず行わなければならない
(2)正しい。
→(4)の解説参照
(3)正しい。
→被疑者の本籍・住所・氏名・生年月日・職業等の、いわゆる人別事項が供述拒否権の対象となるかについて、判例は、氏名のごときは原則として憲法38条1項にいう不利益な事項に該当しないとして、否定説に立っている(最判昭32・2・20)
(5)正しい。
→刑訴法198条1項ただし書、同条3項及び5項の規定は、参考人の取調べにも準用されている(223条2項)ので、参考人は出頭を拒み、又は出頭後いつでも退去することができる
→刑訴法198条2項は、被疑者以外の取調べについて準用されていないから、参考人の取調べに際しては、供述拒否権の告知は必要でないと解されている(最判昭25・6・13)

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図解でわかる刑事訴訟法 (入門の法律)

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刑事訴訟法判例百選 (別冊ジュリスト (No.174))

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