3月22日「今日の模擬試験」配信分のメッセージ

こんにちは。水野です。

憲法〈12〉
次は、憲法38条1項の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」についての記述であるが、誤りはどれか。
(1)「自己に不利益な供述」とは、自己の刑事上の責任に関する不利益な供述、すなわち有罪判決の基礎となるべき事実や、量刑上不利益となるべき事実などの供述をいう。
(2)判例は、氏名は原則として「自己に不利益な供述」に当たらないとしている。
(3)判例は、憲法38条1項は刑事手続にのみ適用され、行政手続には一切使用されないとしている。
(4)「何人も」とあるのは、いわゆる刑事被告人、被疑者は当然のこととして、証人も入ると解されている。
(5)自己に不利益な供述を「強要されない」とは、直接強制はもちろん、間接強制も許されない趣旨である。

憲法38条は、毎年かなりの割合で出題されている。特に、警部補試験、警部試験での出題が多い。条文を記憶してから、各々の文言の意義・解釈・判例等を整理しておくことが必要である。

正解(3)
(3)誤り。
→行政上の諸目的を達成するために、法律で、特定の事項について、質問への答弁、届出などを義務付け、それを罰則で強制することがある(所得税法、道交法など)
→このような義務付けが不利益な供述の強制として憲法違反となるのか(憲法38条1項は行政手続にも適用されるのか)
判例は、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、憲法38条1項の保障は及ぶとする(最大判昭47・11・22)
(1)正しい。
→「自己に不利益な供述」とは、本人の刑事責任に関する不利益な供述、すなわち有罪判決の基礎となる事実、量刑上不利益となる事実などの供述を指す
(2)正しい。
判例は、氏名の供述は、原則として不利益な事項に該当するものではないとする(最大判昭32・2・20)
(4)正しい。
→本条1項の保障は、刑事手続における被疑者・被告人に限らず証人にも及ぶ
(5)正しい。
→ここにいう「強要されない」とは、その供述しないことを罰すること(直接強制)だけでなく、それを理由として何らかの法律上の不利益を与えること(間接強制)を禁ずることを意味する

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憲法 1 (有斐閣アルマ)

憲法 1 (有斐閣アルマ)

憲法 2 (有斐閣アルマ)

憲法 2 (有斐閣アルマ)